住まいの診断事例
2017年5月22日 月曜日
東広島市S邸[築40年 木造]
中古住宅の耐震診断
小屋裏よりチェック
小屋裏(屋根裏)から部材のチェックをします。図面通りの部材を使用しているか、金物の有無、劣化具合などをチェックしていきます。
小屋裏でのチェック箇所
画面上のちょうど中央に木が黒ずんでいると思いますが、これは漏水による木の変色が起こった跡です。
雨漏り等により木が濡れて、腐ってしまうと、耐力を発揮できませんので、老朽化のチェックもくまなく実施します。
床下からのチェック
床下からも部材のチェックをします。図面通りの部材を使用しているか、金物の有無、劣化具合などをチェックしていきます。また、床下では基礎部分のチェックもしていきます。
基礎部分のチェック箇所
基礎部分は主に、クラック(ひび割れ)やコンクリートの剥離(剥げ)、鉄筋の有無を調べます。画像は、クラック(ひび割れ)です。このクラックは幅と深さを調べて、老朽化の程度を調べます。
総 評
S邸では、数年前に1階部分を大規模リフォームされておりました。とてもデザインされてオープンな空間となっておりましたが、もともとあったはずの壁や筋交いなどを撤去されており、耐震的には建物が弱くなっておりました。今回は、建物の劣化による耐力の減少というより、リフォームによる耐力の減少が大きいと判断されました。
国が推奨する「一般診断法」による上部構造評点
0.39(倒壊する可能性が高い)
(注)1.5以上:倒壊しない 1.0〜1.5未満:一応倒壊しない 0.7〜1.0未満:倒壊する可能性がある 0.7未満:倒壊する可能性が高い
壁直下率 40.4% ≦ 55%※
※一般社団法人木造住宅デザイン研究会が定める安全基準値
壁直下率とは、1階と2階がつながっている柱や耐力壁の割合のことで、構造的なバランスを評価する重要な指標として使われています。
柱直下率 47% ≦ 50%※
※一般社団法人木造住宅デザイン研究会が定める安全基準値
耐震補強方法の例
上部構造評点 1 ≧ 1.0
(注)1.5以上:倒壊しない 1.0〜1.5未満:一応倒壊しない
▼
耐震補強後 壁直下率% ≧ 55%
耐震補強前 柱直下率47%▼
耐震補強後 柱直下率% ≧ 50%
今回はまず屋根材が瓦だったので、軽い瓦材の変更を提案しました。さらに今回はリフォームされたばかりの物件でしたので、なるべく新たな壁や柱を設けず、既存の壁を補強して、評点を1.00まで上げました。
診断費用:
80.000円(消費税別)