住まいの診断事例
2017年8月25日 金曜日
広島市H邸[築42年 木造]
耐震診断
基礎
基礎の状態を確認します。
H邸は大きなクラックは確認されませんでした。
鉄筋の有無も機械を使って調べます。今回のH邸では無筋コンクリートでした。
外壁
外壁の種類や状態を確認します。
モルタル壁の場合は塗膜の状態やクラックの有無を確認します。
H邸では、数か所クラック(ひび割れ)が確認されました。
壁内部
壁の内部も確認します。今回は壁内部に土が確認されますので、
土塗り壁が下地の壁となります。
土塗り壁は少し強度を持っていますが、建物自体を重くしてしまうので、評点が下がることの方が多いです。
下地材
下地材の状態も確認します。
今回のH邸では、水回りの部分の床下地が劣化してました。
居室
すべての部屋の床・壁・天井の状態を確認します。
また、床と壁(構造)は傾きもデジタル水平器により確認します。
今回は一部規定以上の傾斜が確認されました。
バルコニー
バルコニーの状態も確認します。
今回のH邸はバルコニー床の排水が思わしくなく、評点の減点対象となります。
総 評
現地での耐震診断では以下のチェック項目がありました。
・外壁に数か所クラックがある
・床下地に劣化部分がある。
・一部床面に傾斜が確認される。
・バルコニー床の排水不良がみられる
耐震計算による評点の減点となると考えます。
国が推奨する「一般診断法」による上部構造評点
0.57(倒壊する可能性が高い)
(注)1.5以上:倒壊しない 1.0〜1.5未満:一応倒壊しない 0.7〜1.0未満:倒壊する可能性がある 0.7未満:倒壊する可能性が高い
壁直下率 78.17% ≧ 55%※
※一般社団法人木造住宅デザイン研究会が定める安全基準値
壁直下率とは、1階と2階がつながっている柱や耐力壁の割合のことで、構造的なバランスを評価する重要な指標として使われています。
柱直下率 62.06% ≧ 50%※
※一般社団法人木造住宅デザイン研究会が定める安全基準値
耐震補強方法の例
上部構造評点 1.05 ≧ 1.0
(注)1.5以上:倒壊しない 1.0〜1.5未満:一応倒壊しない
▼
耐震補強後 壁直下率78.17% ≧ 55%
耐震補強前 柱直下率62.06%▼
耐震補強後 柱直下率62.06% ≧ 50%
今回は、壁・柱直下率に初めから問題はなかったので、新設の壁・柱を作らず、既存の壁を補強することにより、評点を1以上にしました。
さらに、なるべく壊す部分を限定し、バランスとコストの面でも配慮しました。
診断費用:
60,000円(消費税別)
- なぜ診断をしようと思ったのですか?
- 以前から耐震診断に興味があった。この度、ライフスタイルが変わるので、リノベーションを考えているが、どうせやるなら悪いところはみんな直そうと思い、相談した。
- 診断をしてどうでしたか?
- 結果を聞いたときは、大規模な工事となるんじゃないかと心配しましたが、最小限の範囲の提案をしていただいて大変感謝しています。
さらに、今回、広島市の耐震診断の補助も受けることが出来たので、実質20,000円でできました。
ありがとうございました。